from AASJ
最近の研究では、脳内留置電極を使用して人間の脳を研究することが進んでいます。例えば、脳の活動から行動を再現するデコーディングが実用化され、安全な長期留置が可能な電極の開発が課題となっています。しかし、神経回路の研究は電極をすべての場所に置くことができないため、困難なものとなっています。
今回紹介された論文では、甘くて脂肪の多い食べ物の味を覚えることで、同じ食べ物に手が伸びて過食になる現象の神経回路を人間で解明しようとする試みが行われました。この研究では、マウスの研究で示された神経回路が人間でも同様に存在するかどうかを調べるために、高解像度のMRIや電極を使用して実験が行われました。
具体的には、マウスの研究で示された神経回路が人間でも存在するかどうかを確認するために、MRIを使用して両者が結合しているかどうかを確認しました。また、死後の脳を使用して実験を行い、解剖学的な証拠も得られました。
さらに、実際の神経投射があるのかを確認するために、ミルクセーキタスクと呼ばれる課題を使用して神経反応を測定しました。その結果、ミルクセーキに反応して起こる海馬の活動が見られ、美味しい記憶が統合されていることが示唆されました。
最後に、過食の女性のMRIを調べることで、この神経回路の結合性が低下していることが明らかにされました。これにより、結合性が上昇することが過食の原因ではなく、統合することが過食を抑制するのにも関わる可能性が示唆されました。
この研究は、人間の脳の神経回路を研究するために必要な手法や体制について示唆しており、基礎臨床の連携が重要であることが示されています。
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