from AASJ
近代医学の歴史の中で、細菌が癌を引き起こす可能性があるという考えがありましたが、最近の研究ではその説が否定されてきました。しかし、オーストラリアの研究者による研究により、ピロリ菌が胃潰瘍や胃炎だけでなく、胃がんのリスクを高めることが示され、ノーベル賞を受賞しました。それ以来、細菌とがんの関連性についての研究が重要視され、フゾバクテリウムと直腸がん、口内連鎖球菌と胃がんなど、がんを促進する細菌が明らかにされてきました。
オランダの癌研究所からの論文では、4000を超える転移性がん組織の細菌叢を調査し、転移性がんと細菌との関係を包括的に探る研究が発表されました。約1700人の患者から採取された4000以上の転移組織バイオプシーから細菌DNA配列を解読し、転移組織やがんのタイプに特徴的な細菌叢があることが明らかになりました。細菌叢はがん組織の遺伝子発現を変化させるだけでなく、自然免疫を刺激してがんの増大や転移を促進する可能性も示唆されています。
また、チェックポイント治療を受けている患者では、細菌叢の多様性や量が低下することも明らかになりました。今後の研究で特定の細菌ががんの進展にどのような影響を与えるかが明らかにされることが期待されています。
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