from AASJ
この記事は、インドヨーロッパ語の起源に関する最新の研究について述べています。現在、世界で使われている言語の中には、インドヨーロッパ語に属する言語が400以上あり、世界の半数の人々が日常的に使用しています。これまで、ウクライナのステップ地域が起源だとする説と、トルコのアナトリア地域が起源だとする説が存在していました。
2003年にニュージーランドの研究グループがアナトリア起源説を提唱しましたが、古代DNAの研究からは、ステップ地域に住んでいたヤムナ民族のゲノムがインドやシベリアにも存在し、アナトリアとステップ地域のゲノム交流がほとんどないことがわかりました。そのため、インドヨーロッパ語の最終的な起源はまだ不明のままでした。
最新の研究では、アルメニア地方で生まれたインドヨーロッパ語の先祖が、ステップ地域とアナトリア地域に別々に伝播したというシナリオが提案されています。この研究は、言語の系統樹を解析する方法を見直し、古代語を含めた多くの言語を比較して、インドヨーロッパ語が約8000年前にアルメニア地方で発生した可能性が高いことを示しています。
この研究では、ハイブリッドモデルと呼ばれるアプローチが用いられており、ステップモデルとアナトリアモデルを組み合わせて考えています。また、解析方法も見直され、古代語を起点とするのではなく、兄弟として扱うことで、起源としての年代測定の間違いを防いでいます。
結果として、8100年ごろにアルメニア地方で生まれたインドヨーロッパ語が、複数の言語に分かれ、そのうちの一つがステップ地域に伝播し、3つの言語がアナトリア地域に移行したというモデルが提案されています。
この研究により、インドとイランが同じ起源であると考えられ、ステップ地域から直接インドに伝播したとする説は否定されました。これにより、データサイエンスの進展と情報の研究が協力し合い、人間の起源についての理解が深まることが期待されています。
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