from AASJ
プリオンタンパク質は、神経変性疾患を引き起こす異常型に変換されると、他の正常タンパク質を異常型に変換し、治療法のない狂牛病などの新たな疾患を誘導します。異常型は食べられると異なる個体に伝播します。しかし、正常型の機能はあまり知られていませんでした。最近の研究では、プリオンタンパク質の様々な機能が明らかになりました。特に、腎臓など他の組織での発現と機能が報告され、プリオンタンパク質の欠損が腎臓の障害を悪化させることがわかっています。
南方医科大学の研究チームは、正常型のプリオンタンパク質が慢性腎臓疾患で腎臓の繊維化を促進する働きがあることを明らかにしました。プリオンタンパク質は腎臓を保護すると考えられていましたが、実際には腎臓の尿細管上皮で上昇しており、腎臓の機能と逆相関しています。さらに、プリオンタンパク質の上昇が腎臓の繊維化を促進することも示されました。
研究では、プリオンタンパク質の過剰発現がTBK1-IRF3を介して腎臓の繊維化を引き起こすことが明らかになりました。TBK1経路を阻害することで腎臓の繊維化を抑える可能性が示唆され、慢性腎臓障害の治療標的となるかもしれません。この研究は、プリオンタンパク質が腎臓の繊維化を促進する意外な役割を明らかにしましたが、まだ治療法への応用には限界があるかもしれません。
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