from AASJ
私たちの細胞表面の分子は、さまざまな糖鎖修飾を受けています。中でも、血管内皮のバリア機能に関わる重要な分子がグリコカリックスであり、その損傷が糖尿病における血管透過性の変化に関与しているとされています。最近、Covid-19感染における血栓形成の要因として、グリコカリックス層の剥離が指摘されました。しかし、グリコカリックスの老化による変化に関する研究はあまり知られていませんでした。
スタンフォード大学からの研究では、老化に伴いグリコカリックス層が減少し、脳血管関門の機能が損なわれることが示されました。老化したマウスの脳血管を調べた結果、グリコカリックス層が傷害されていることが明らかになりました。さらに、研究ではグリコカリックスの機能を回復させるための実験も行われ、一部の酵素の導入によって血管の機能が回復する可能性が示唆されました。
この研究からは、グリコカリックスが脳血管関門の維持だけでなく、血流の調節や炎症抑制、抗酸化作用などにも関与していることが示唆されました。今後は、グリコカリックスに関するさらなる研究が行われ、脳の老化や疾患に対する新たな治療法の開発につながる可能性があります。
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