チンパンジーの文化継承に関する新研究（AASJ）

from AASJ

多くの動物が道具を使用する行動を示しており、それがグループ内で共有されているように見えることもありますが、文化を新しく発展させるのは人間だけだと考えられてきました。しかし、最近の研究では、チンパンジーがアフリカ西部から中部に分布する複数のグループで文化の継承と発展が見られることが明らかになりました。

この研究では、828匹のチンパンジーのゲノムを解読し、集団間の血縁関係を調査することで、文化の継承についての新たな知見が得られました。特に、道具を使わない行動や簡単な道具使用を共有する集団では血縁関係が認められませんが、複雑な道具使用を共有する集団では血縁関係が明確に認められました。また、チンパンジーの文化は数千年にわたって近縁間で学習を通じて継承されていることも示されました。

この研究により、チンパンジーも新しい道具の使用法を発展させる能力があり、その歴史をゲノムから再構成することが可能であることが示されました。これまでの研究とゲノム解析を組み合わせることで、チンパンジーの文化の進化が人間のそれと比較してどのように異なるのかが明らかになりました。

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