from AASJ
ミトコンドリアは母親からだけ遺伝することが知られていますが、その理由はよく理解されていませんでした。この論文では、精子のミトコンドリアにはミトコンドリアDNA(mtDNA)が存在せず、そのメカニズムも説明されています。実験では、単一の精子のミトコンドリアDNAの量を調べた結果、ミトコンドリアあたりのDNAは正常の14%しか存在しないことが確認されました。さらに、精子のミトコンドリアは卵子に入っても独自に分裂する能力がなく、ミトコンドリアの複製に必要な酵素や因子も見つかりませんでした。
その原因は、ミトコンドリア内での転写を調節する分子が精母細胞への分化の過程で移行できなくなっていることであり、この分子がないとミトコンドリアの複製ができないことがわかりました。さらに、この分子のスプライシング過程で精子だけで合成される長い配列があり、そのリン酸化によってミトコンドリアへの移行が阻害されることも明らかにされました。
これらの結果から、ミトコンドリアが母親からだけ遺伝する理由が初めて説明されました。今後は他の生物と比較することで、ミトコンドリアの母親からの遺伝の始まりも理解できるでしょう。
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